まさかと思うけど女の人と暮らしてるとか?
ううん、そんな人が居たら今日私と出かけることなんてしないよね。それに私をそんなところにつれていかないよね。
不安だらけで、あんなに楽しかった一日の記憶が一気にそれこそ泡のように消えてしまいそうだった。
私の家の駅に向かう途中、私たちは先輩のお家の最寄り駅で途中下車した。
駅から歩いて10分程。住宅街なのか街灯が少なくあまり治安が良いとは思えないような所だった。古いアパートや新しいマンション、立派な一軒家がごちゃごちゃに混在する混沌とした街。そんな印象を受けた。
やがて
「ここ、うち」と先輩は一軒の古いアパートを指さした。築年数はかなりいっていそうだったし、雨で錆びついたボロボロの外階段を上ろうとして先輩は振り返り
「美海はここで待ってて」と振り向かれ、私はぎこちなく頷いた。意外だった。先輩がこんな言ったら悪いけれどボロアパートで暮らしてるって。確か……お父さんと二人で暮らしてること前言ってたような……
”あいつ”ってお父さんのこと?
そのときだった。
白い短いスカートにビビットピンクのオーバーサイズシャツを着た沙羅先輩が階段を駆け下りてきた。胸元まで空いたボタンを付ける時間すらなかったかのように前見ごろを掻き合わせ逃げるように降りてきてびっくりした。
何で……沙羅先輩が…
やっぱり沙羅先輩と海李先輩って。
「沙羅、何でお前がここに?」と先輩が足を止め目を開く。
「きょ…今日海李のお誕生日だったでしょ?ケーキ私に来たらおじさんに…」
沙羅先輩は動揺しているのか、海李先輩の背中に隠れた私の存在に気づいていないみたいだった。
「はぁ?何で一人で来たりしたんだよ」先輩の声が低く強まった。
「だって今日は……」
「一人でここに来るなって言っただろうが。どーなるか保証できないって散々言っただろう」
「だって海李も居ると思ったんだもん」と沙羅先輩は泣いているのだろうか目元を乱暴に手の甲で拭った。
「はぁ」先輩は沙羅先輩を心配するというより沙羅先輩の行動に苛ついている様子だった。
「あの……誰かに乱暴されそうになったんですか……それなら警察に…」と私がおずおずと顔を出すと
沙羅先輩の表情がさっと変わった。
「何であんたがここに?」



