こ、こーゆうときってどうするべき?ドラマとか漫画だったら先にシャワーを浴びて……
ぐるぐる考えてたら頭がパンクしそう。試験問題より難問にぶち当たった私は誘ったのは私だって言うのに今すぐ逃げ出したくなった。
「緊張、してる?」先輩に聞かれ、私は素直に頷いた。
「こうゆうとこくるのはじめて?」とまたも聞かれ、ぶんぶん首を縦に振った。
「そっか」先輩はどこか口元に優しい淡い笑みを浮かべて、その表情を見た瞬間緊張が少しだけ緩んだ。
「そうだ、私先輩にお誕生日プレゼント用意したんです」
私はバッグとは別に持ってきたちょっとオシャレに飾った紙袋を取り寄せた。お弁当のバスケットもこの紙袋も先輩と会った瞬間すぐに先輩が持ってくれたわけだけど。
「え?プレゼント?いーって言ったのに」と言いながらも先輩はどこか嬉しそうだ。
「あ、あんまり大したもの用意できませんでしたけど」と前置きして紙袋を渡すと、先輩は紙袋の中をガサガサとまさぐりその中からきれいにラッピングされたマグカップの箱を取り出した。
包装紙を意外に丁寧な手つきで剥がすと
「お!マグカップ!しかもイニシャル?でも二個って」
「あ!これはあたしが勝手に……先輩とペアにしたいなって」
「うわ、すっげぇ嬉しい!ペアかよ!マジかよ!」先輩は想像以上に喜んでくれて、一生懸命選んだ甲斐があったな、と実感。
「じゃー、これは美海が持ってて」と手渡されたのは私の”M”の方ではなく”K”の方だった。
「え…でも先輩用にはこの”K”って…」
「取り換えっこしようぜ。これだったら離れててもいつでも一緒に居られる気がするだろ」
先輩は無邪気に笑った。
離れていても一緒に―――
そういう発想はなかったけれど、先輩の提案は私の心に心地よく刺さった。
「ぜってぇ大事にするな!てか大事にし過ぎて使えないかも」と先輩は笑う。
「使ってください。先輩の為に用意したんだから」と口を尖らせると
「サンキュ、俺のために」と突然きゅっと強く抱き締められ、私たちは自然にキスを交わした。
そのまま押し倒れそうになって、私は慌てた。
「せ、せんぱ……ベッド……ベッドがあるし……それにシャワー…」
何とか言い訳を考えていると先輩は私を所謂お姫様抱っこと言う形で私を持ち上げた。
わ!わわっ!
急に高くなった視界に戸惑いながらも先輩の足音を聞きながら、私は落っこちない様先輩の首に腕を回した。
「シャワーはさっき浴びたし、今すぐ美海が欲しい。
俺………ホントはすっげぇ美海が欲しかった」



