海李先輩は私と手を繋いだまま無言で電車に乗り、適当な駅に着くと降り立った。電車に乗っている最中も歩いている最中も海李先輩は貝のようにぴったりと口を閉じ無言だった。怒っている感じには見えないけど……
ほ、ホントにどこへ行く気だろう。
私はただ黙ってついてくことしかできない。
そして着いた先は―――
これまたラブホテルが連なる道だった。時間帯の問題なのか、それともそもそもこうゆう場所なのかあまり人は歩いていない。
「どこがいい?」先輩に静かに聞かれ、あたふたと周りを見渡したけれど、どれもTheと言う感じであまり違いが分からない。
ぱっと目に入ったレンガ造りのアーチ状の出入口。車が出入りする場所は少し重そうなカーテンが天井から半分程ぶら下がっていて
「あ……あそことか…」と、指さすと
「よし」と先輩は再び私の手を握って歩き出した。
手の中に汗が浮かんだのが分かった。それを悟られないようにそっと掌の距離を取ろうとすると先輩はきゅっとさらに力強く握ってきた。
熱い―――手だった。
初めて入るラブホテル。
私たちが入ったラブホテルのロビーは私が想像するよりはるかにきれいで明るい照明に、大きな画面の部屋の写真や紹介など書かれていた。良く昔のテレビドラマで見た所謂受付的な場所はなく全くの無人だ。
先輩はモニターを手でぐるぐる指さし
「どこがいい?」
またも聞かれ
「せ、先輩に任せます」
と身を縮こませると
「じゃぁ、ここにするか。広そうだし。休憩とフリータイムがあるけどどっちにする?美海時間は大丈夫?」
休憩?フリータイム?よく分かんないけど、できれば先輩と一分一秒でも長く居たい。
「あ、今日は遅くなるって言ってあるんでどっちでも」
「んじゃフリータイムにするか。俺も美海と一緒に居たいし」
一緒に―――
先輩がタッチパネル形式の部屋を押すと、自動で部屋番号が記載された紙が印字されて吐き出された。先輩はそれを受け取ると
「え?鍵は?」
「今は鍵なんてそんなん使わないって、いつの時代よ」先輩は少し笑って、私の緊張をほぐすかのように頭を撫でてきて少しだけ緊張が緩んだ。てか慣れてるな……先輩はこうゆうとこ来るの初めてじゃなさそう。
部屋はパネルに映っていたよりはるかにきれいで広かった。
初めて入るラブホテルの部屋。
「わぁ」
私はトイレや大きなお風呂場やきれいな洗面所、そしてそこにある様々なアメニティグッズ、今流行りの高いドライヤーやヘアアイロンもきっちり整理されて置かれていることにちょっと感動。
こ、こんなにきれいなんだ。
そしてメインのベッドスペースはこれまた大きなベッドが置かれていてこれまたきれいにベッドメイクされていて、ドキンと心臓が鳴った。
今更何緊張してるのよ、誘ったのは私なのに。大体先輩とは初めてではない、怖気づいてしまいそうになる私に色々言い訳をして私は先輩がすでに座っていた広いソファの先輩の横に腰を下ろした。



