次の日から試験期間に入って少しの部活だけ除いて殆どが試験休部に入った。水泳部も当然休部状態。

私は事情を説明して智花を誘って、学校とは反対側の電車に乗り大きなショッピングモールに来ていた。

水着を選ぶ為だ。

この頃、失恋から立ち直ったのかそうでないのか智花は元来の元気な姿をすっかり取り戻していた。海李先輩が言った通り時が癒してくれたのかな。それとも新しい恋を見つけたのかな。まぁそれはないか。長い間翔琉のこと思ってたワケだし、そんな簡単に切り替えられるわけ……

「あたしね、三年のサッカー部の先輩と付き合うことになったの。告られて」

まさかまさかの、あった。

「え!?」

「何かぁ、すっごい硬派なんだけど結構イケメンで頭もよくてサッカー部でも活躍してるひと。告白もイマドキ手紙で、だよ手紙」と智花は楽しそうに喋ってくる。

私は……と言うと水着売り場の持っていたハイビスカス柄のビキニを思わず取り落としてしまった。

「な、何でそんな急展開。てかいつから?」

「んー、付き合って一か月ぐらいになるかなぁ。美海にはすぐに報告すべきだったけど、あんな風に翔琉にフられて泣いてたあたしを知られてるし慰めてくれたから、軽い女だって思われそうでなかなか言い出せなかった。ごめんね……」

軽いだなんて思うわけないじゃん。

哀れ蒼空、失恋決定だな。でも私のとって大切なのは生意気な弟じゃなく大切な親友。

「えー!やったね!智花ぁ」私は落ちたビキニを拾うことも忘れて思わず智花に抱き着いた。

「応援してくれるの…?」智花が不安そうに顔を上げる。

「当たり前じゃん!」

「ありがと~」智花は嬉しそうに笑ってきゅっと私を抱きしめ返した。

「高井戸先輩と同じ学年だから先輩なら、知ってるかも。今度ダブルデートしよ」と智花が楽しそうに言い出し

「いいね!でも海李先輩協調性がないからなぁ…団体行動とか苦手そう」思わず苦笑が漏れると

「美海ってホント高井戸先輩のこと好きなんだね」

「へ!?」

「だっていいとこも悪いとこも認めて、それでも今日だって先輩のために一生懸命で、そう言うとこ美海の凄いとこだよ」

そんなこと言われたの初めて。