「また明日からバイト三昧だぁ」と海李先輩がぽつりとこぼした。
何気にいつも出掛けるとき先輩が全部出してくれるけど、そこまでバイトしても余る筈のお金を稼いでる気がするけど……
それに怪我までしてバイト続ける意味ってあるのかな。
も、もしかして誰かに貢いでるのかな…
例えば沙羅先輩…とか?
違う違う。自分の考えが嫌になり頭を振っていると
「何考えてンの?」とふいに先輩に顔を覗き込まれた。
「あ、いえ……ちょっと寂しいなって…」と半分本音、半分嘘が口をついた。
「そっか、これから寂しい思いさせるかもしれないけど、俺、美海とはずっと一緒に居たいから信じて?」
何だか、自分の心の中を見透かされたようで急に恥ずかしくなった。
「う、疑ってないですよ」これは完全なる嘘。
「美海、好きだよ。
俺には美海みたいなきれいなものが手に入らないと思ってた。
でもようやく手に入れたんだよ。だから絶対手放したくない」
え―――?
きれい?
顔が再び熱くなり、両頬を両手で包むと
「はは、顔はまぁ最初可愛いなって程度だったけど、俺の中の美海はどの女より”きれい”なんだ―――」
またもきれいって。
言われ慣れてない言葉に心臓がまるでドラムを鳴らしたようにドンドン煩い。
心臓の音、聞こえちゃわないかな……
「てか”可愛いなって程度”って酷くないですか?」と私は恥ずかしさを隠す為先輩を軽く睨んだ。
「だってそう思ったもん」先輩はしれっと言う。
もう、いいや。先輩に可愛いって言ってもらったし。
でもこの時の先輩の言葉―――私は、ただの恋人同士の気持ちの確かめ合いだけだと思ってたけど、先輩の中にはもっと深い意味があって、バカな私はこのとき先輩の気持ちを何一つ気づいていなかった。



