『マジで?あー、良かったぁ』と先輩の声が緩んだ。今まで少し機械的だと思った声が、はじめて生の海李先輩の声だと認識できて
そっか……先輩も緊張してたんだ…と何となく気づいた。
だって告白って一大イベントだもんね。誰でも緊張するよね。
でも、海李先輩も緊張することってあるんだ。何だか人間らしくていい。
「あ……!でも学校ではあたしたちの関係は秘密にしておいてください」
『え……何で……俺、どっちかって言うと自慢したいタイプなんだけど』
自慢……!それはそれですっごくすっごく嬉しいけど。
でも……
「実は……」
私は今まで海李先輩に隠していた沙羅先輩の嫌がらせの数々を喋り聞かせた。こんな…告げ口みたいでいやだったけど、海李先輩と付き合うってことになったら今はまだ我慢できる範囲の嫌がらせが今度はどんどんえすかーレートしそうで怖い。
『は!?沙羅が美海にそんなことを?』
海李先輩は当然知らなかったみたいで、電話の向こう側で声が一段と大きくなった。
『それなら俺から言ってやるよ。美海に何かしたらただじゃおかないって』
「それが通じると思います?今度は影でもっと陰湿なことしてくるに決まってます。海李先輩に言うと今度は告げ口して、みたいなこと言われるだろうし」
『……まぁ長い付き合いだからあいつならやりかねそうだけど』
「あたしだってホントは堂々と付き合いたいです、でもまだ水泳部続けたいから」
『そうだよな。美海の立場だってあるだろうし。それにしても沙羅、そんな陰険なことしてたんか』海李先輩の語気が強まった。
「ホントそう……自分はこっそりコーチと付き合ってるくせに…」
はぁ、と小さくため息をつくと
『マジで!?』と先輩の声がまた一段と大きくなった。
「え……知らなかったんですか?」
『いや、好きなヤツが居るってことは知ってたけどそれがまさかコーチだったとは知らなかった…』
「だ、誰にも言わないでくださいね!もし二人の関係がバレてコーチが辞めさせられっちゃったら今度はあたしが沙羅先輩に高校辞めさせられそう」
『言わねーよ。つか、あいつ自分勝手過ぎ。自分はコーチと付き合ってるくせに美海に嫌がらせとか』
だよね……あたしだって苛ついたもん。
『まぁ俺らが付き合ってることは美海のことが心配だから内緒にしてるけど、何かあったらすぐ言えよ?沙羅にそれとなく文句言ってやるから』
それじゃ逆効果じゃ……と思ったけれど、そこまで心配してくれるの嬉しい。



