人魚のティアドロップ


あれこれ考えてベッドでゴロゴロしていると

スマホに着信があった。一瞬、智花かと思ったけれどディスプレイに”海李先輩”の文字を見たときは

「わ!わわっ!」とやはり手の中でスマホが躍った。

今までメッセージのやり取りはあったけど電話は初めてだ。

どうしたんだろう。まさか本当に忘れ物??

短い間に色々考えたけれど、鳴り続ける着信音を無視できず

「も、もしもし」と結局出ることに。

『あ、美海?俺、海李』

「知ってます」何故だかちょっと笑えてきた。だってディスプレイに名前出てるし、ちょっとかすれた独特のしびれる色気のある声は電話を通しても分かる海李先輩そのものだったから。

『さっき、ごめんな。変な風に分かれる羽目になっちまって』

「う、ううん!先輩が謝ることなんて何一つないです。悪いのはあたしで……って言うか翔琉が…」

と最後の方語気が強くなると

『二人、付き合ってンの?』と聞かれた。

は―――?

「まさか!あれはさっき話した単なる幼馴染で、好きは好きだけど男女の好きじゃなくて」

何で必死に言い訳してるんだろう私。

だって私が好きなのは海李先輩だから。

『そっか、良かった』

良かった―――?ってどう言う意味?



『なぁ、俺ら付き合わない?』



は―――?


突然の発言に言葉を失った。

そりゃ凄く望んでたことだよ。海李先輩と付き合うって。

でも電話で、しかもこんな簡単に、コンビニ付き合って?みたいな言い方……本気にして……いいわけないじゃない。

「何言って…」私は軽く笑った。

『美海は俺のことが嫌い?』

「そんなことは!」ありません、とどんどん声が小さくなる。

『じゃ、オッケーってことでいい?』と探るように聞かれ、私は布団の上で思わず正座。

「でも……今日……キス……」

『キス?』

「いつも何だかんだしてるのに今日だけはしてないじゃないですか」

『あー……何かそれ目的って言うか遊び?みたいに思われたくなかったから』

そう―――だったんだぁ……先輩も色々考えてたんだね。

でも…

「あのぉ……一つ聞いていいですか?」

『うん、何?』

う゛……電話だと表情が見えないから分かりづらい。でも聞かなきゃ。

「先輩はあたしのこと、好きなんですか……?」





『うん』




少しの間があって返事があった。この少しの間は何?

”どこが?”と聞きたかったけれどその前に

『美海は?俺のこと好き?』と聞かれて

「―――はい。

好き、です」



言―――っちゃった。