海李先輩は言葉通り、軽く散歩をするつもりなのだろう。ダウンコートに両手を突っ込みながら歩きだした。その後を慌てて追う。
街はクリスマスが昨日で終わり、正月モードになっていてあちこちに門松やら注連縄が飾られていた。その変わり身の早さに日本のイベントって大変だぁ、なんて思う。
先輩は…正月どう過ごすのかなぁ。初詣とか言ったりするのかな……
いや、神様に神頼みって感じの人じゃないな。
何か…家でゴロゴロして一日中テレビ見てそうなイメージ。
なんて一人で考えているだけでも海李先輩の隣を歩いているだけで楽しい。
「すっかり正月モードだなぁ。美海は初詣とか行ったりすんの?」と私の考えを何で読めたのか不思議だけど、これだけ正月モードだったら誰でも考えるか。
「そうですね…うちは昔お父さんとお母さんと三人で初詣してましたけど、最近は智花と翔琉と…」
「あ、智花と翔琉って言うのは幼馴染って言うか……智花は同じ水泳部で。ってもアートスティック部門ですけど」
聞かれてないことをぺらぺら喋ってしまうのは沈黙になるのが怖かったから。
「へぇ、幼馴染。知らなかったな、美海に幼馴染が居ること。”智花”って相羽か相田か…苗字そんなん?」
「はい、相羽 智花です。知ってるんですか?」
「ツレがすっげぇ可愛い子が入学してきたって騒いでたから、その時名前聞いただけ」
智花……二年生にも人気なんだ。
紹介して?とか言われたらどうしよう。そりゃ大好きな親友だから紹介したいけど、海李先輩が智花のこと好きになっちゃったら…
「でも俺は美海がいいな~、一緒に居て面白……いや楽しいし」
「ちょっとぉ!今面白いって言いかけませんでしたか?」
「はは!そう言うとこ。よく笑って時々怒って、でも素直で全然擦れてなくて。そういうとこす――――」
先輩は口をつぐんだ。
え?今『す』って言いかけませんでした?
もしかして『好き』って言いたかったのかな。
って……、流石にそれはないよね……



