海李先輩は一人っ子だからお父さんと二人暮らしってことか。また一つ先輩のこと知れた。
「いつか……先輩の作った焼きそば食べたいな…」
厚かましいかな、と思ったけれど何も考えず口についた。
「俺の?あんまうまくないと思うけど」海李先輩は苦笑い。「それに俺んち美海ん家に比べると雲泥の差でボロアパートだしな」
これは……体のいい断り口実…?
ちょっとがくりときていると
「それでも良ければご馳走するけど?その代わりまた勉強教えて」
え?
思わず顔を上げてまばたきをしていると
「あ!勉強の代わりのお礼としてはしょぼいか」と先輩は恥ずかしそうに頭の後ろを掻いた。勉強一つで先輩の焼きそばを食べられるのなら安いものだ。
「そ、そんなことないです!」
そんな話をしながらの食事は楽しかった。料理は全部美味しいし最初は緊張し過ぎて料理の味なんてわかるのか不安だったけれど。
全てを平らげて先輩はトイレに立っていった。
はぁ、まるで夢のような時間だった。口の中に残る美味しいパスタやサラダの味がまだ口の中に広がっている。それに海李先輩との楽しい時間が拍車をかけて、また今日眠れるかなぁと顔がにやけるのを何とかこらえていると海李先輩が帰ってきた。
「よし、食ったしどっか散歩でもするか。食後の後の運動」と先輩は席を立ち上がった。
「あ、はい」慌てて私も席を立ち上がり、海李先輩の後を慌てて追うと先輩はお会計もせず、店員さんが「ありがとうございました」と扉を開けてくれた。
「え?先輩…お会計…私ちょっと払います」と慌ててバッグから財布を取り出そうとすると
「言ったろ?今日は俺の驕りだって。それにここ俺VIP扱いだから」と先輩は妖しくウィンク。
「え…でも…」と尚も渋っていると
「あーもぉ、さっきトイレに立ったフリで全部払っておいたっつうの。気にすんな。俺の驕りだって言ったろ」
と先輩はやや強引に私の腕を引いて店を出た。
トイレに立ったフリでお会計済ませた?まるでドラマや漫画みたいなシチュエーションにびっくり。
「せんぱ……」
掴まれた腕を見下ろしながら海李先輩に呼び掛けると
「あ、わり。痛かった?」
「違っ!あの…ご、ご馳走様でした!」ガバっと頭を下げると
「ん。素直でよろしい」と先輩は笑いながらまたも私の頭をなでなで。
わ……また頭撫でられた…
嬉しい。



