人魚のティアドロップ


パスタは値段が張るだけある。やはり美味しかった。

一口口に入れる濃厚なホワイトクリームと海老のうまみを感じてほっぺたが落ちるぐらい。家族で外食することもたまにあるけれど、こんなに美味しいパスタははじめて。

「んー!美味しい!」

思わず声が出ると先輩は破顔。

「そこまで喜んでくれると誘った甲斐があったな」

わ、私ったらはしゃぎすぎ?小さく咳払いして同じく先輩が取り分けてくれた、これまたオシャレなシーザーサラダを口に入れるとこちらも最高に美味しかった。オレンジジュースはいつもファミレスで飲む薄いものじゃなく凄く濃厚だし。

てか先輩って何気に気が利くって言うか……普通は女子の私が取り分けるべきだけど。

「美海ってうまそうに食べるのな」と先輩は楽しそうに笑った。

「え?そうですか」

何だか子供っぽかったかな。ちょっと恥ずかしい。

「普段でもこうなの?」

「普段?普段はお母さんの料理だからふつーですよ」

「へぇ。母親の手作り料理かぁ。羨ましい。何作ってくれんの?」

羨ましい?

「何って……普通の家庭料理ですよ。それより羨ましいって先輩のうちは?」

「俺?俺んち母親いねーから俺がてきとーに作ったり、ラーメンとか」

え………?

「ごめんなさい……あたしったらまた変なこと聞いちゃって」

「だから何で美海が謝るんだよ。美海は何も悪くないだろ?それにいずれか知ることになるし」

いずれ……ってじゃぁ今日で終わりってことじゃないってこと??

嬉しさと不謹慎さがごちゃまぜになって何だか色々複雑だったけれど、何とか話題を変える為

「先輩って何作るんですか?うちの父は料理は全然できなくて。男の人が料理できるのって凄いな~」

「そんな大層なもん作れねぇよ。カレーとか焼きそばとか野菜炒めとか簡単なヤツしか。美海は?料理とかすんの?」

「あ、あたしはお母さんのお手伝い程度で…」

は、恥ずかしい。

ちゃんと料理の一つぐらいできるようにしておけばよかった。

「手伝いかぁ。えらいな美海は」

先輩は何でも前向きにとらえてくれてそう言うところも―――好き。