人魚のティアドロップ


運ばれてきたホタテと海老のクリームソースと、先輩のカラスミと海老のペペロンチーノはそう待つことなく届いた。

というものの、時間が短く感じられたからだろうか。久しぶりの二人っきりの食事に緊張するかと思ったけれど私たちはよく喋った。

「ごめんな~、なかなか連絡できなくて。昨日までバイト三昧で」

「え?先輩バイトしてるんですか?」

確かにこの高校はバイト禁止じゃないけど。

「うん、ガソリンスタンドとファミレス掛け持ち」

「え!」それも意外だ。

「元々バイク好きだからさー、ガソリンスタンドの方は結構楽しいんだよね。ファミレスの方は客が帰った後の片づけだけだから楽っちゃ楽だけどあんまやり甲斐はないなー」

「へぇ、そうだったんですかぁ。でも長時間立ち仕事って足大丈夫ですか?」

以前のアキレス腱の怪我のことを心配すると

「水泳よりはるかに楽だよ。あれは冷たいし足酷使するし長時間とか毎日は無理」

そっか、そう言うものか……

「あ……ごめんなさい、あたし変なこと言って」

「何で美海が気にするんだよ。美海は何も悪くないのに」

先輩は何事もなかったかのように笑ってちょっとほっ。

「でもさ、奢るって約束したしファミレスとかだとやっぱかっこつかないじゃん?んでたまにはちょっといつも行けない店連れて行ってびっくりさせたかったからバイトしてた。まぁそのおかげでだいぶ稼げたからここの分払っても余裕ができたし一石二鳥」

先輩はピースマークを作ってにっこり。

私の為にわざわざバイトしてくれたの?それなのに私ったら既読になったのに返事がないことにもやもやして……自分の考えが恥ずかしくなる。

そんなことを話しているうちに料理が届いたのだ。

ご丁寧に取り皿も二枚用意してくれた。どうやらシェアして食べる用に用意してくれたみたいだけど、私たちまだそう言う仲じゃないけど……傍から見たらそう見えるのかな。それだったらちょっと嬉しい。

なんて一人ニマニマしてると先輩は小さなトングで自分の分を取り皿に取り分けてくれて

「美海の分もちょっとちょうだい」と「いいですよ」と答える前に取り分けてるし。ホントマイペース。

でもそう言うところも好き。