と言うわけで智花に簡単にメイクもしてもらったし、慌てて指定された駅に向かうと黒いダウンとジーンズ、中はグレーのニットと言うシンプルな格好の海李先輩を発見できた。
海李先輩は駅に隣接しているバスターミナルからちょっと離れた公園のようになっている場所のステンレス製の衝立のようなバーに腰掛けポケットに手を突っ込んでぼんやりと遠くを眺めていた。
この時間帯……帰宅ラッシュなのか人は結構多い。その殆どがサラリーマンやらOLさんのように見えた。みんな一日の仕事を終え疲れた顔をしているように見える。中には私たちより早く冬休みに入った学生さんぽいひとたちも結構見た。
その中で、何で私はすぐに海李先輩を見つけられるんだろう。
特別目立った服装をしているわけではないし、特別秀でたイケメンってわけじゃないのに。
そこだけ光が当たってキラキラ輝いているように見えるのは恋をしているマジックなのだろうか。
「海李先輩!」走って彼の傍に行くと
「おー、てか走ると危ねぇって。怪我したら泳げなくなるぞ」と海李先輩は白い歯を見せて笑う。
「あ、はい。気を付けます」
ペコリと頭を下げると
「真面目か」と先輩は再び笑う。しかしすぐその笑みを止めると
「あれ?美海いつもと雰囲気違うな。あ、私服だからか。可愛いじゃん。似合ってる」とまた屈託なく笑う。
また―――可愛いって。
私、恋愛に関してはバカだから本気にしちゃいますよ?
「ここからちょっと歩くけど良さげなイタリアンの店見つけたんだ。イタリアン嫌い?」と聞かれ
「いえ!好き嫌いはないです」
正直以外だった。またファミレスみたいな所を想像してたから。
イタリアンなんて男の人の二人っきりで行くの初めてで今から心臓がドキドキいっている。
そこから10分程歩いたところでレンガ造りの可愛らしいカントリー風のお店が見えた。イタリアの緑、白、赤の国旗の旗がはためいていてたぶんイタリア語だろう店名が木の看板に掲げられていた。
「わぁオシャレ…」と口元に手をやると
「女子がいかにも好きそうだろう?」と先輩はどこかドヤ顔。なんか……慣れてる感ない?
「先輩は他の女の子とこうゆうとこ来たことあるんですか?」
「まさか。俺の知り合いの女って言ったら美海と沙羅しかいないってこないだ言ったじゃん。沙羅とはこんなとこ行かないし」
え?沙羅先輩とも来ないの?
そう思うと自分が特別な女になった気がして気分が一層高揚した。



