私の考えが甘かった。海李先輩に何を求めていたのだろう。元々気まぐれな人だったし。
やっぱり私は海李先輩にとって都合の良いオモチャ。海李先輩は沙羅先輩は自分がオモチャにされてるって言ってたけど、海李先輩だってそうじゃない?私をオモチャにして楽しんでるんだ、きっと。
何だかもう色々嫌になって、あまり練習に身が入らなくなった。当然タイムも落ち始めるとあっという間に他の部員たちに先を越させることになる。
焦りはなかった。一瞬辞めることも考えたけれど沙羅先輩が引退なり卒業したりするまでの我慢だよと開き直ることにして、今の今まで何とか続けている。
そして気づけば年末に近づいていた。
しばらく水に入ることができないのは残念だが、沙羅先輩の顔を見ないで済むと思うと少しだけ気が楽になった。
そんなある日のことだった。
”ごめん!連絡できなくて。急だけど今日とか空いてる?奢るって言ったし食事でもどう?”
と海李先輩から連絡が来た。
へ!?
先輩、送る相手間違ってないよね。
”先輩、あたし美海ですけど送る相手間違ってません?”
バカ正直に送ってしまった。だって間違えでのこのこ行って違う女の子と一緒に居たらショックだし。それこそ一生立ち直れないだろう。
”分かってるって(笑)てか俺女の知り合い美海と沙羅しかいないし。沙羅と出かけることなんてないし”
え―――、沙羅先輩と出かけることは、ない?
何だか凄く嬉しくなって、私は
”はい、大丈夫です”ってすぐに返信しちゃった。これじゃ都合の良い女まっしぐらじゃない。バカな女まっしぐらじゃない。
でもどう思われたっていい。ずっと待ち望んでた海李先輩からの連絡。
”じゃぁ六時〇〇駅集合な~”
六時!あと一時間しかないじゃん!
私は慌ててクローゼットを開けると、バーに掛かっている洋服を眺めた。ひらひらのスカートは気合入り過ぎ?かといってジーンズも色気がないような…コートは何を着よう。靴は?
ああ!どうしよう!



