「ホンッと!ごめん!」お互いシャワーを浴び終え制服に着替えると先輩は智花とよく行く24時間オープンのファミレスに連れて行ってくれてテーブルに手をついて頭を下げてきた。
「い、いえ!言ってなかったあたしも悪かったし」と私は慌てた。
先輩は逃げもせず律儀に謝ってきた。そのことに少し驚いた。だって単なる気まぐれでしょ?遊びでしょう?
「でも……いいんですか?……先輩、沙羅先輩と付き合ってるんじゃ……」
おずおずと、言ってはいけないことを聞いてしまったあと後悔した。
「は?沙羅と?てか付き合ってないし。てかあいつ他に好きなヤツいるし」
え―――
「だって沙羅先輩は付き合ってるって」
「確かに中学は一緒だったけど、俺らそうゆう関係じゃないし。仲は悪くないけど男友達的な?まぁあいつにとって俺は単なるオモチャみてぇなもんだろ。そのオモチャと美海が仲良くしてるのを見て、オモチャを取られたって思ったんじゃね?」
単なるオモチャ―――
それはそれで酷いけど。
「あいつちょっと性格がアレだろ?俺はああゆうの無理。付き合うなら純粋で素直な美海みたいな女の方が楽しいに決まってる」
え――――
「あ、わり。変な意味で取らないで。美海を困らせたくて言ってるわけじゃないから」
「困ってなんか―――」ない。むしろすごく嬉しい。
またも顔が赤くなって、それと同時に忘れかけていた下腹部の辺りがじくじくと痛み出した。それは私が”女”だと意識させられた。
今日のことは―――夢じゃないよね。
私は先輩が頼んでくれたポテトフライに手を伸ばした。すっかり冷めてパサパサしてたけれどちゃんと味は感じる。
先輩は私の目の前で小さめのチョコレートパフェを食べている。
「意外……先輩でもそうゆうの食べるんですね」
私が指摘すると今度は先輩がちょっと赤くなって口元に腕をやると顔を背けた。
「普段は食べないようにしてる。なんかイメージって言うか…」
イメージ?
「ふふっ」私は軽く笑った。
「何だよ」先輩は口を尖らせる。
「可愛いな、って思って」
「あのなぁ、男にとって可愛いは褒め言葉じゃないから」
「じゃぁギャップがあってステキ?」
「何でそこ疑問形なんだよ」
「ははっ」私は心から笑った。「笑うなよ」と言いながらも先輩も同じように笑っている。
何だか、夢みたいな瞬間だよ。この瞬間が泡になって消えてしまわないよう、このときの私は切に願った。



