かいり先輩は最初の方ちょっとびっくりしていたみたいだけど
「慣れてるな」と目をぱちぱち。
「弟も小さいころやっちゃって、あ、滑り台から落ちて怪我しちゃったんですけどもう殆ど元気です」と何故か早口になって説明すると
「弟かぁ、いいな。俺は一人っ子だからな」とかいり先輩は私の顔を覗き込む。
ゴーグルを外したその整った顔がふいに至近距離に近づいてきて思わず一歩後退しようかと思ったけれどできなかった。
かいり先輩の顔は離れていこうとはせず、どんどん近づいてくる。
何か……何か言わなきゃ―――だけど
「せんぱ……」”い”と言う前に、優しい唇で口を塞がれた。
え――――?
先輩はプールサイドであたしの体が痛くないように頭や背中に手を回してそのまま私を下に敷いた。
「え……あの…」
何も考えられず真っ赤になる顔を隠すことが精一杯で両手で顔を覆うと、やんわりと手を剥がされ再びキスが落ちてきた。
そのまま水着から覗いた首筋に唇が降りてきて鎖骨ら辺に降りてくる。水着の肩ひもをゆっくりと下ろされる感覚があった。
先輩―――先輩には沙羅先輩が居るんじゃ……
と一瞬の間で倫理とか道徳とか考えたけれど、先輩の甘い口づけに脳のてっぺんから足の先まで甘いしびれがきて、そんなことどうでもよくなった。たとえ先輩の気まぐれでも遊びでもいいや。と危険な考えにまるでシャワーのように流されていく。
はじめての場所はどこか豪華なホテルで、とか彼のおうちでとか前は想像していた。けれど現実は違って。夜の誰もいないプールで二人。私ははじめて男の人に抱かれた。
想像していたよりはるかに痛かったけれど、気分が高揚してあまり何も考えられない。
行為の後、シャワー用に置いたバスタオルを先輩が貸してくれて体を隠したのはいいけれど、隠れていなかった足の間から赤い液体が流れ落ち、
「あ……」恥ずかしさで顔を赤くし俯くことしかできなかった。流石に先輩も悟ったのだろう
「もしかして……はじめて?」と聞かれて
もう消えたい、と思いながら私は小さく頷いた。



