「わぁキラキラだ~!」と海斗が翔琉の手から指輪の箱を奪って宙に掲げている。
「ちょっと海斗、それはお兄ちゃんの大事なものだから」
すぐに取り返そうとしたが、海斗はそれがとても気に入った様子でなかなか離す様子がない。
「海斗、俺がパパになっちゃダメかな」とはしゃいでいた海斗に翔琉がちょっと不安そうに問いかける。
「翔琉お兄ちゃんがぼくのパパ?」海斗は最初きょとんとしていたものの、「うん!ぼく翔琉お兄ちゃんだいすきだからパパになってくれるとうれしい!ほいくえんのみんなにじまんするんだ!」
そんな簡単な問題じゃないのよ、と何とか説明したかったが、どう説明しよう。
「美海は俺のこと嫌い?」
「ううん……好きだよ……でもそれは男女の愛って言うか…」
「分かってる。でも俺はそれでもお前たち親子を守っていきたいんだ。家族愛でもダメか」
翔琉―――
「さ、三回目はないから」
「きょうから翔琉お兄ちゃんはぼくのパパだ!ようちえんで自慢できるよ」と翔琉の周りを楽しそうにぐるぐる回っている海斗を見ると、これからもっと多感な年ごろになったとき父親の存在は必要だと思う。
だけどそんなことで翔琉の人生を狂わせていいのかな。
望めば私よりもっといい女の人と出逢える筈なのに。
「お前、今変なこと考えてたろ~、俺のこととか?」
こくり、と素直に頷くと
「もうそれって”愛”じゃない?」
そっか―――
これも一つの”愛”なんだ。愛にも色んな形があるんだね。この瞬間曖昧だった私の世界にはっきりと色がついた。それは水のように透き通ってきて、しかし鮮やかなブルー。人魚姫の棲む水の中だけれど、そこから見上げる青い空色にも見える。
翔琉とは色々あった。自分勝手な理由で別れを告げたのに、そんな私を……ううん私たちを受け入れてくれる。
「私で良ければ、家族になってください」丁寧に頭を下げると、翔琉は
「よっしゃーーーー!!!!」と大声で叫びガッツポーズ。
「ちょっ…!近所迷惑になるから静かに」私は慌てて「しー」と口元に人差し指を当てると
「だって嬉しすぎたもん」と翔琉は子供のような口調でぎゅっと抱き着いてきた。
「ぎゅー」と海斗も私たちに抱き着いてくる。
私たち、きっといい家族になれるね。



