人魚のティアドロップ


その後、翔琉は次の営業先があるからと言って行ってしまうと、待合室に戻った。

待合室はあまり人が減ってないように思えたが、それでも徐々に人が減って行っていよいよ海斗の番になったとき、熱はすっかりひいていて、しかし先生に診て貰った所喉もちょっと腫れてるし、ちょっとした風邪だろうという診断を下された。

薬をもらって家に帰りつき、夕飯の支度をして海斗に薬を飲ませ、その後寝かしつけ。

今日は―――久しぶりに色んなことがあったな。

淡々と過ぎていく毎日に少しばかり色がついたような、そんな日だった。

それから数か月後、施設でまたも翔琉に会った。ここで育っている子供たちの常備薬を届けに来たようだ。それも仕事の一環なのか。案外大変なものだな。

「美海!また会ったな。ここで働いてるの?海斗は元気?」

「うん、元気元気。あの時の熱も一時のもので薬飲んだらすぐ良くなった。さっすが翔琉の薬」

「いや、俺が作ったワケじゃねぇから」と翔琉は笑った。「なぁ、今日美海んち行っていい?海斗にももう一回会いたいし」

「え!?」

「実を言うと、俺料理は全然で毎日ビニ弁。久しぶりに美海の手料理食いたいな~って思って」

「いいけど、それなら届けるよ」

「海斗が居るだろ?一人にしちゃ可哀想じゃん」

「それもそうだけど」

「じゃぁ後で住所送っておいて。番号変わってないよな。6時には終わるから」

と、ほぼ強引に決められて唖然。

マイペースって言えばいいのか何だか。翔琉、全然変わってない。

結局翔琉のスマホに住所を送り、翔琉は言った通り6時ちょっと過ぎに訪ねてきた。

夕食は肉じゃがと豆腐と大根の味噌汁、サラダと出汁巻き卵、焼き鮭を用意した。

コンビニ弁当って言ってたし、少し栄養のあるもの食べて貰わないと。

「おー海斗、久しぶりだな」

二回目なのか、海斗もそれほど人見知りをせず「こんばんは」と挨拶をしている。

「こんばんは~」

こうして初めて三人で食卓を囲むことになった。