この日も翔琉は遅かった。料理を作る気にもなれず
”体調不良だから何か買ってきて”と言うと夜も11時過ぎ、翔琉は自分の分のコンビニ弁当、そして私にスポーツドリンクやらゼリーやアイスと言ったものを買ってきてくれた。
「体調不良って大丈夫かよ、風邪か?」と翔琉は私の額に手を当てる。
「ううん、違う。インフルでもないし」
「そっか~、ゼリーぐらいなら食べられるだろうとかと思って買ってきたけど、食える?」
「いい、今は要らない。でもありがとう」私は翔琉が買ってくれたゼリーやアイスを冷蔵庫や冷凍庫に入れると
「翔琉、話したい事があるの」
私が切り出すと
「……う、うん」と翔琉がちょっと不安そうにダイニングテーブルの椅子に腰かけた。
私は翔琉から受け取ったダイヤの指輪のケースをずいと翔琉の前に出すと、
「翔琉……私、翔琉とは結婚できない。別れて…」
最後まで言い切らないうちに
「嫌だ!」
と言い席を立ち上がった。思いのほか勢いがついていたのか、椅子がガタンと音を立てて後ろにひっくり返る。
びくり、と私の肩が揺れた。
翔琉は椅子がひっくり返ったことも目に入ってないように、私の元にくるとしゃがみ込み
「俺のこと、嫌いになったのか?嫌なことがあったのなら直すから」
「嫌いじゃないし、嫌なこともない。翔琉はいつも私に優しいよ」
「じゃぁ……」
「ごめん、私が完全に悪いの。理由は聞かないで」
卑怯な私は海李先輩の子供が私のお腹の中に居ることを言えなかった。
「理由が分かんねぇのに納得なんていかないよ」
そうだよね……翔琉の気持ち分かる。分かるけど……どうすればいいの。



