それから三か月が経った。季節は12月。どの店に入ってもクリスマスソングが流れているし、飾りつけもそれなりに派手なものもあれば控えめなものもある。
クリスマスの予定は特に立てていない。お互い仕事だし、翔琉の方は年末と言うこともあって最近残業ばかりだ。
異変はこの頃からあった。
ううん、本当はもっと前からあったかもしれないけれど気づかなかったのだ。
食事中、突然吐き気をもよおしたり、匂いにやたらと敏感になった。体が熱っぽく、しかし風邪をひいた程の熱ではないが倦怠感もある。
あれ?私月のものどれぐらい来てない?
ここになってようやく疑った。
最近忙しかったからホルモンバランスが崩れてるんだとしか考えてなかったけれど数えたら三か月もきていない。
え―――
翔琉とは半年ほどご無沙汰だった。計算したら最後にしたのは
まさか!
慌ててドラッグストアで妊娠検査薬を買い、会社でこっそり検査をしてみると陽性だった。赤い線がくっきりと二本浮かび上がっている。
そんな―――!
何かの間違いだと言って欲しい。
私はこの日体調不良を理由に早退すると慌てて産婦人科に出向いた。
「妊娠十週目ですね。おめでとうございます」と医師から告げられた言葉に目の前が真っ暗になるのが分かった。
どうしよう。どうする!?
今すぐ泣き出したくなって、これも妊婦の特徴なのか涙が浮かばないよう必死に堪えて家に帰った。
ソファに座り、下腹部をそっと押さえる。
今も育ち続けている、私の赤ちゃん。
翔琉との結婚の為、堕ろす―――?
ううん、そんなことしたくない。だってこの子は海李先輩の子だもの。先輩の二度目の贈り物。でも海李先輩は自分の子供が欲しくないって言ってた。
海李先輩とは結婚できないことは分かり切っている。
それでも―――
そう、答えは自然に出ていたんだ。
私、
産みたい。



