愛を呑み込んで、さようなら



ー君はもう気付いただろうか。


ーー君は今頃指輪を見つけて泣いているだろうか。


ーーーそれとも怒っているだろうか。



飛行機に乗り雪の国へと足を踏み入れた俺はもうユアの顔や声…気持ちすら分からない。飛行機に乗る前の手荷物検査…あそこでお互いの連絡先を消した。



『 新しい人が見つかってお互いの存在が邪魔にならないように 』ーそう声に出しお互い 思い出も連絡先も削除した。



でも、俺は見逃さなかった。俺に背中を向けて連絡先を消すユアの肩が少し震えていたこと。『きっとまだ未練がある』



そう思えてならなかったけど、酷いことをしたのは俺だ。今更元に戻ろうなんて言えなかったから、家に指輪と手紙を置いたんだ。せめてーー、『君の未練が無くなりますように』と祈った。




「…っ、ユア」



2人で旅行に来た時のこと覚えてる?あの時も北海道で海鮮が美味しいホテルに行ったらほっぺは落ちないのに落ちる落ちると言ってリスみたいに口の中に食べ物を頬張っていたね



あの日は寒くて雪が沢山降ってて…雪だるまを二人で作って雪合戦して。疲れた俺たちは街の小さな売り場に行ってお揃いの雪だるのキーホルダーを買ったんだっけ…。



そのキーホルダーはスマホに付けていた。…そのキーホルダーを外し、橋のフェンスの上にそっと置く…1分もしないうちにそのキーホルダーは雪の下になって、まるで…誰かの涙みたいだと。




そのキーホルダーに背中を向け歩く。もう振り返らない、もう思い出しはしない、もうあの橋へ戻らない。キミはもう過去の人だから……。