愛を呑み込んで、さようなら。




───ピピピピッッ



6時半を知らせるアラームの音を止め、寝癖で汚くなった髪を優しくゆっくりくしでといて、エプロンをつけてキッチンへ立つ


「 …… 」


──無言に身を任せ、ひたすら無言で2人分の料理を作る。


「おはよ」


「ナギ、おはよう。朝食食べたら空港行くんでしょう?」


「うん」


「わかった、車で行くからキャリーケース後ろに積めてね」


「うん…」



そして、ご飯を食べ、空港へと行く。



「ほら、起きて。空港に着いたよ?」


「……あと少し」


「 もう!間に合わないでしょ。」




無理やり起こして、自分の荷物を持たせ飛行機の乗り場へと向かう。


…これで本当にさようならだよ、ナギ……


結婚しようって指を結んだあの日…永遠の愛を誓ったのに、叶わなかった。



未練なんて無いって言いたいのに、あんなに酷いことされたのに、自分からさようならをしたのに、矛盾しすぎてる自分が大嫌い。…本当は私ナギのことどう思ってるの?



「ユア、じゃあね…」

───私、寂しいよ。やっぱり別れたくないよ、



「…ユアっ」

───なんでそんなに悲しそうなの?



「…もう会えないけど、頑張ってね」

────何を頑張るの…?



「あの頃もいつも俺ばかりが喋ってたよね、」

───まだ、まだ…覚えててくれてるんだね。



「…ナギ、っ…」



涙を堪えた私の声は掠れてて君に聞こえてるのか分からない。けど伝えたい。君が酷い人でも…ずるい人でも、私の最愛の人だった事には変わりない。



「ナギ、今、までありがとう…っ」


「…ずっと幸せだったし楽しかったよ」



最後だから、最低な人だから、矛盾してる私だから…せめて言わせてね。



「大好きだった」


「ユア…、俺も好きだった。ごめんね浮気して」


「…っ」


涙を堪え、君に笑顔を見せる。初めて会ったあの笑顔のように、君が好きだと言ってくれた笑顔で居られる内に、君にさようならと告げよう。


いつもずるくて最低で私の欲しい言葉なんかいつも言ってくれなかった癖になんでこういう時だけ私の欲しかった言葉を今更言うの?



『 さようなら 』


お互いに手を振ってさようならをした寒い冬…5年間の私の恋はこれでドアを閉めた。…色々あり過ぎて自分でも何が何だか分からないけど、本当に楽しかったなぁ。



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苦しくても涙を沢山飲み込んだ。
いくら考えても答えはいつだってシンプルで…
出た答えは… 『 愛してる 』

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そしてナギを見送ったあと家に帰るために車を家に走らせナギの部屋だった部屋のドアを開け見渡す。ふとクローゼットが気になってゆっくりと開ける



「…っえ、」



私は恐る恐る“それ”を手にしゆっくりと開けた。これは、ナギからのプレゼント…?いつの間に、?


小さい白色の箱に入っていたモノは キラキラと輝く指輪でその箱の下に紙があり空けて読んでみると…



『 本当はもっと早く渡したかったんだけど、渡すの遅くなっちゃっていつ渡したらいいか分からなかった。


…けどいつかユアがこの箱を見つけて手に取ってくれるまで待つよ。いつか言えたらいいな。


結婚してください、愛してるよ…。』



「ナ、ギ…っ」

今はもうもぬけの殻となってしまった空白の部屋に私の嗚咽混じった声が響く…


───ナギ、君は本当に最低で最後まで愛しくて、本当に最後まで何を考えてるのか分からなくて最後まで何をしているのか分からなかった私の過去の人…


今更こんな形でこんなもの受け取ってもどういう反応したらいいか分かんなくなるじゃん。



もう彼は、ナギはもう雪の国へと旅立ち 過去を葬り 今を生きようとしている。


ナギも、ナギと過ごした時間もこの指輪も手紙も…全部過去だと思って私はそれに封をする。…君のせいでたくさん泣いて、不安になったけど…



たくさん悩んでもたくさん泣いてもたくさん想っても最後に出た答えはいつだって“愛してる”だったけど。


今君のことを思ったら…“愛してた”いつだって言える。キミのこと本当に愛していたよ……