「いまさら家族ぶるつもりか?さんざんシーラを邪険にして粗末に扱い、いじめてきたくせに?ふざけるなよ。そうか、わかった。国同士の問題になりかねないというのなら、俺からこの国の王へ一言断りをいれておこう。そうだな、その際には、君が俺を捕まえた暁には商人へ売り飛ばすか、飼い殺しにするか、はく製にしようとしていたということも伝えておこう。俺がこの耳で聞いたことだから確実だ。それこそ、国同士の問題になるだろうな。それでもよければそうするが?」
今までの明るく和やかな声とは違い、低く内臓から殺されてしまうような恐ろしい声に、キリルは思わずひっ!と悲鳴を上げ、首を横に振った。
「さて、邪魔者はこれでいなくなった。そろそろ国へ戻ろう。シーラ、一緒に来てくれるよね?俺は、君を絶対に守って見せるし、絶対に幸せにするよ」
そう言って、ルーリウスはまたシーラの片手の甲にそっと唇を寄せる。その瞳には、絶対に来てくれと懇願するような熱い思いが込められていて、シーラは胸が高鳴った。
(……ここにいても、私は幸せになれない。人間の私が、鳥族の国に行って幸せになれるのかどうかわからないけれど……でも、この人の言葉を信じたい)
ルーリウスに掴まれた手を小さく握り返して、シーラは目を瞑る。それから小さく深呼吸して、目を開いた。
「一緒に、行かせてください」



