「それに、シーラの母親が君の父親をたぶらかしたんじゃない。君の父親がシーラの母親をたぶらかして妊娠させたんだ。君の父親が既婚者でしかも子供がいたと知ってシーラの母親は一度身を引こうとしたらしい。それでも、君の父親は執拗にシーラの母親へ迫り、妊娠させた。お腹にシーラがいることがわかり、シーラを生むことを決意したシーラの母親は、君の父親に促されるまま、君たちの住む屋敷へやって来た。シーラもシーラの母親も、むしろ被害者だよ」
話を聞きながら、シーラの目からぽつり、と涙が零れ落ちた。
(泣いてはだめ、こんな時に泣くなんて、きっとまたお姉さまがお怒りになってしまう)
泣きたくないのに、涙が零れ落ちてしまう。シーラが必死に涙をぬぐっていると、ルーリウスはシーラの顔を覗き込んで、そっと指で優しくぬぐった。
「泣かないで、シーラ。もう、悲しい思いはしなくていいんだ。俺と一緒に行こう」
「なっ、待ってください!他国の王子が、こちらの家族の了承も無しにシーラを連れていくなんて、まるで人さらいです!国同士の問題にもなりかねませんよ!シーラを連れていきたいなら、家族である私、そしてお父様とお母様の承諾を得てからにしてください!」
キリルが怒ったように顔を真っ赤にして抗議する。だが、そんなキリルをルーリウスは冷ややかな瞳で見る。



