シーラの返答にキリルは明らかに不機嫌そうな顔をする。だが、すぐに表情を変えてにっこりと微笑みルーリウスの方を見た。
「これはフォリア国の第一王子様。遠路はるばるこんな場所へお越しいただき恐縮ですわ。ご挨拶が遅れてしまい、申し訳ありません。シーラの姉、キリルと申します」
そう言って、キリルは美しい所作でカーテシーの挨拶をする。シーラの前では横暴で最低な義姉だが、シーラ以外の前では美しくつつましい令嬢を演じており、それが似合ってしまうほどの美貌と所作を身に着けていた。
「それにしても、どうしてシーラに求婚を?こんな見栄えもよくない、何の取柄もないただの小娘に、なぜ隣国の第一王子が求婚するのでしょうか?姉として、きちんと説明していただきたいですわ」
「……それについては詳しくは言えないし、君には言う必要はないと思っている。なにせ君は、俺を見つけたら商人に売り飛ばすか、飼い殺しにするか……はく製にしようと思っているような恐ろしい人間だからね」
ルーリウスが冷ややかな視線をキリルに向けてそう言うと、キリルは一瞬わけがわからないと言うような顔でルーリウスを見つめる。それから、ハッとしてルーリウスとシーラを交互に見た。
「ま、さか、鳥族の第一王子が、あの噂の幸せの青い鳥?……シーラ!」
キリルに名前を呼ばれ、シーラはビクッとする。だが、そんなシーラの肩を、ルーリウスは優しく引き寄せた。



