あれから1か月。
彼女と話すたび、胸の奥がくすぐったくなる。
LINEの通知が鳴るだけで、世界が明るくなる。

でも、
ホワイトデーが近づくたびに、心がざわついた。

「お返し、どうしよう……」

マシュマロ?
ドーナツ?
団子?
検索履歴がスイーツだらけになっている。

「お菓子以外でもいいんじゃない?」
と友人が言う。
でも、なんだか違う。
“お菓子を渡す”って行為そのものが、
彼女との思い出をつなぐような気がしていた。

夜、自分の部屋でプレゼントを包みながら考える。
――結局、何を渡しても、形だけじゃ足りない。
本当に渡したいのは、“ありがとう”と、“好きだ”という気持ちだ。