蝶々結び【完結】

確かに、陽向先生に見つめられると胸が高鳴る。
 誰かと話しているのを見ると、胸の奥がチクッと痛む。



 ――もう気づいていた。自分の気持ちに。




「うん……そう……かもしれない、けど。」



 恥ずかしそうに視線を落とす結衣。
 柚希はにっこりと笑った。




「だったら、飛び込んでいいんじゃない?」



「えっ……」



「陽向先生のこと、私も全部知ってるわけじゃないけどさ、
 でもあの人、誠実だと思うよ。
 結衣を見る目、他の人のときと全然違うもん。
 こう……本当に“想ってる”っていうか、“大事にしてる”感じ。」




 柚希の言葉に、結衣の胸の奥がじんわりと熱くなった。




「……でも、好きだってはっきり言われたわけじゃないし、不安なの。」



 結衣はぽつりと呟いた。



「それに、昔付き合ってた元カレのこと、思い出すこともあるし……。」



「元カレ?!」





 柚希の声が思わず高くなる。




「そんな話、初耳なんだけど!」




「うん……。」





 結衣は少し黙り込んだ。
 しばらくして、静かに語り出した。