ちーん。

ひとり暮らしの私の部屋に、間抜けな電子レンジの温め終了の音が鳴る。

「あつっ…」

レンジから肉吸いを取り出し、すでにロ―テーブルで待っていた砂ずりと玉ねぎのサラダ、そしておにぎりの横に置く。

「いただきます」

惰性(だせい)でテレビのリモコンを操作し、適当なバラエティー番組に照準を合わせる。

きらきら(うごめ)く安っぽいセットに、下品なテロップと下品な笑い声が部屋の沈黙を裂く。

おにぎりをかじりながら、画面をぼんやり眺める。

沈黙を満たすためにテレビをつけたのに、一向に沈黙が満たない。

ビニールパックに挟まった海苔(のり)を指でほじくり出しながら、私はまたテレビのリモコンを手に取り、音量を大きくした。