Last Christmas

一緒にいた女も、見るからに安っぽい雰囲気だったから、お似合いじゃない。

いくら、心の内側で罵倒してみたところで、こんな形で初恋が終わって、心底惨めだった。


鈍行で、自宅マンションに戻る途中、都心を通過するのだが、街はクリスマスムード一色。

行き交う人は数えきれないのに、何故か、自分だけがひとりぼっちのようだ。

田舎を嫌って上京してきたのに、今はこの大都会の凍てつくような孤独を痛いほど感じている。

思い切り泣きたいのに、何故か涙が出ない。

ただ、もう恋なんてしたくない⋯⋯二度とするまいと誓った。


＊


街に出るのも、独りで部屋に居るのも嫌だった私は、登録制の単発アルバイトを、敢えてクリスマスイヴにしようと決めたわけである。

彼とクリスマスを過ごすものだと思い込んでいたので、帰省するための寝台車の切符も、２６日のものだ。

こんな時期では、切符の日付の変更も出来ない。