今度は私が彼に問うと、
「⋯⋯お前のそういう、おっとりを通り越して鈍すぎるところ、もううんざりなんだよ!」
彼はそう怒鳴り付けた。
「わかった。もういいわ」
何がいいのか自分でもわからないが、それだけ告げると、私は部屋を出た。
もしかすると、追いかけてくるかも⋯⋯などと愚かしい期待をしながら、ゆっくり歩いていたが、いつまで経ってもその気配はない。
いっそ雨ならよかったのに、外は哀しいほど晴れていた。
こんなに明るいと、泣くことも出来ない。
一体、いつからなの⋯⋯?
相手は年上に見えたけれど、何処で知り合ったの?
あの女は、私をお堅いだけの箱入り娘と呼んだ。
きっと彼が、あの女の前で、私のことをそんな風に揶揄していたのだろう。
名前でもなく、“彼女”でさえなく、そう呼んでいたのね⋯⋯⋯。
あぁ、よかったよかった。
あんな不実な男と深い仲になる前に別れられて。
「⋯⋯お前のそういう、おっとりを通り越して鈍すぎるところ、もううんざりなんだよ!」
彼はそう怒鳴り付けた。
「わかった。もういいわ」
何がいいのか自分でもわからないが、それだけ告げると、私は部屋を出た。
もしかすると、追いかけてくるかも⋯⋯などと愚かしい期待をしながら、ゆっくり歩いていたが、いつまで経ってもその気配はない。
いっそ雨ならよかったのに、外は哀しいほど晴れていた。
こんなに明るいと、泣くことも出来ない。
一体、いつからなの⋯⋯?
相手は年上に見えたけれど、何処で知り合ったの?
あの女は、私をお堅いだけの箱入り娘と呼んだ。
きっと彼が、あの女の前で、私のことをそんな風に揶揄していたのだろう。
名前でもなく、“彼女”でさえなく、そう呼んでいたのね⋯⋯⋯。
あぁ、よかったよかった。
あんな不実な男と深い仲になる前に別れられて。



