Last Christmas

私たちの住む部屋は、徒歩5分の距離だ。

試験期間も終わり、春休みに入った頃、二人で駅近くの飲食店でご飯を食べた帰り道のこと。

「あのね、気づいたの」

「ん?」

「前に、大和は私とは絶対に、一度もすれ違ったことがないって言ったでしょう?その理由がわかった!大和は、駅とは反対方向の大学まで徒歩通学だけど、私は駅から電車通学だからってことじゃないかな?」

そう言うと、大和は苦笑いだ。

「あれ、違った?」

「いや⋯⋯確かに、合ってはいるけどさ」

大和にしては珍しく、奥歯に物が挟まったような言い方だ。

しかし、そのことは特に気にせず、

「大学の春休みって長いじゃない?だけど、もう帰省はしたくないし、せっかく東京に住んでるんだから、あちこち観光してみたいなぁ⋯⋯」

「いいね。首都圏なら面白そうな場所も多いし、退屈しないよね。それで、何処に行きたいの?」