Last Christmas

帰りたいのに⋯⋯しかし、何処へ?

家の自室で、重苦しい気持ちのままベッドに横たわっていたが、1月2日の夜行列車で東京に戻るまでの一週間が、あまりに長く感じられて仕方ない。

ふと、大和が実家の連絡先も教えてくれたことを思い出す。

今、大和は都内のアパートに居るのか、帰省してるのかはわからないが、とりあえずアパートのほうに電話してみようか。

コートを羽織ると、家の近くの公衆電話から、大和の部屋に電話をかけた。

「もしもし」

その声を聞いた瞬間、心の奥に小さなあかりが灯された。

「飛鳥です。いま、大丈夫だった?」

「うん。俺は大丈夫だけど⋯⋯飛鳥は、大丈夫じゃなさそうだね」

不思議なことに、大和にはお見通しなのか。

「私⋯⋯帰省しなきゃよかった」

「おいおい、どうした?何かあったのか?」

思わず、このどうしようもない哀しみを、恥も外聞もなく、全て大和にぶつけた。