Last Christmas

本当は、一緒に東京の大学に行こうと話していた。

もし、彼が東京の大学に合格していたら⋯⋯?

ばかばかしい。

こんな不毛なタラレバを考えて、何になるのか。

現実問題、彼は受験に失敗した。

4月から12月までの間に、何があったのかはわからない。

ただ、別れ話をすることもなく、彼は年上と思われる女性に走り、最悪な場面を目の当たりにした末に、私はまさにゴミのように捨てられた⋯⋯それだけのこと。

思い出すだけでも嫌だ⋯⋯やはり、帰ってこなければよかった。

元彼との思い出も、いじめられてつらかった過去も、田舎ごと捨てて、早く本当の都会の女になってしまいたい。


実家につくと、母は笑顔で迎えてくれた。

かなり厳しかった両親も、私が上京してからは、やや丸くなったように思う。

それでもやはり、私にとってこの町は、針の筵でしかない。

もう、私には帰る場所がなくなったようだ。