Last Christmas

博多の記憶は殆どなく、名古屋では友達も多く、楽しく暮らしていたが、数年ですぐに転校。

青森に友達がゼロというわけでもないのだが、親友と呼べるような存在はなく、陰湿ないじめも経験している。

私が上京したのは、田舎が退屈だからではない。

一応、地元ということになっているこの町には全く愛着がわかないので、日本中から人々が集まり、互いに支え合っている東京で暮らしたいと思ったのだ。





父が車で駅まで迎えに来てくれていたので、助手席から見飽きた町をぼんやり眺めていた。

胸が痛むのは、この見飽きた町には、元彼と過ごした思い出が散らばっているのだ。

決して楽しいとは言えない日々の中、初めての恋は、私に幸せを与えてくれた。

元彼は、高校時代は硬派な人だったのだが、大学受験でほぼ全滅し、唯一、滑り止めで合格した群馬の大学に進学したという経緯がある。