Last Christmas

知り合ったばかりで、こんなに心を許せる人は、きっと初めてだ。

「飛鳥」

「ん?」

「改めて⋯⋯メリークリスマス」

不思議だ。

クリスマスなんて言葉は聞きたくもなかった筈なのに、大和に言われると嫌ではない⋯⋯どころか、少し嬉しい。

「大和も、メリークリスマス」

一晩中繋げていた電話を切ると、私は帰省の荷造りを始めた。




夜の上野駅で、私はボストンバッグを抱えてぼんやりしていた。

ここに来るのはお盆以来だが、何となく、この雰囲気が好きになれない。

「飛鳥!」

私を呼ぶ声に驚いて振り返ると、なんと大和が居た。

「大和!どうして⋯⋯?」

「ごめん、こんなところまで来たりして。なんか⋯⋯やっぱりどうしても、飛鳥のことが心配で仕方なかったから。かなり大きなお世話なのは判ってるけど、ちゃんと見送らないと気が済まなかった⋯⋯」