Last Christmas

「世の中、酷い男ばっかりじゃないよ。“二度と”は、ちょっと勿体ないんじゃないかな。まぁ⋯⋯そんなことがあったばかりじゃ、時間は必要かもしれないけど」

「じゃあ⋯⋯少なくとも、あと1年は恋なんてしない」

そう言うと、大和は少し笑って、

「いいんじゃない?来年の今頃には、飛鳥のことを凄く大事にする相手が見つかってるかもしれないし」

「そんなこと、あるかな?」

「あるよ。飛鳥なら、いくらでも」

「いくらでもって言うけど、もし、次に誰かを好きになれたとしたら、もう別れるのは嫌⋯⋯」

「飛鳥さえその気になれば、二度と別れることのない相手だって見つかるよ」

「そうかな⋯⋯?そんな奇跡を信じてみるのも、悪くないかもね」

思えば、もし教会の前で立ち止まらなければ、ひとりきりで暗黒の夜を過ごすことになっていただろう。

大和のような優しい人と知り合えただけでも、かなり心が救われた。