その顔はグッタリしていて、さっき私に掴みかかってきた人と同じとは思えなかった。


彼女とお母さん、そして看護師さんが歩きだす。


「千尋、悪いけど今日は送ってやれないわ。
ごめんな。」

「ううん。
じゃあ、私は帰るね。」


雄大は彼女達を追い、私は病院の玄関へと向かう。


今日は何だか疲れてしまった。


彼女がどうして頑なに別れないと言ってるのかが、よくわかった。


それだけ雄大を愛しているからなんだ。


でもね、私も本気で雄大を愛してる。


ただ、今日の彼女を見て私はこのままでいいのか悩んでしまう。


自分の気持ちを貫き通すだけが愛ではないのかもしれない―――