「違っ、千尋と行きたいけど…さっき電話で彼女に誘われたんだ。」

「えっ…。」


心がズキンと痛くなる。


「いやっ、もちろん断ったんだ。
でも、友達と行くって言ってたから万が一バッタリ会う事もあるかなって思って。」

「…そっか。」

「ごめんな。」


私達はいつまでコソコソしなくちゃいけないんだろう。


初めからわかっていたのに、どんどん欲張りになっていく私がいた。


寂しそうに俯く雄大の横顔に手を伸ばしてしまいそうになった。


触れたい。

触れたい。

触れたい。


早く雄大に触れたい。


早く私に触れて欲しい。


繋ぐ事さえためらってしまう手。


いつになったら雄大の手と繋ぐ事が出来るんだろう―――