あの子が伊吹さんと出会ったのは中学3年生の時。
当時、同じ学年の男の子にお世話役を頼んでいたらしいが、「男好き」というレッテルを貼られ、卒業するまで独りだったらしい。

途中で世話役が女の子に変わったが、あの子は殻に籠ったままだった。

だからといって、学年が上の私がお世話役になっても
卒業したらあの子はまた独りになるのに…っていかんいかん。
あの子の心配をするところだった。


「お世話役は学校内だけだって最初に約束しましたよね?だから私、絶対 一緒に帰りませんから」

お先です、と先輩にビルの前で会釈して街の暗闇へと歩みを進めた。



私があの子よりも先に出会ったのに。
私の方が先に、あの人を好きになったのに。
けれど、選ばれたのは後から知り合ったあの子。

ねぇ、私のどこがあの子より劣るの?


絶対にあの子の味方になんかならないんだから。