暗闇の中でネオンが光り輝く街ー。
そんな街の一角に、彼らの拠点がある。
「ねぇ、聞いた?あの子、また伊吹さん達に迷惑かけたらしいよ」
「えー?!また?ホントいい加減にしろって感じじゃん!」
表通りから1本入った通りを左に曲がると、先ほどまでの賑わいが嘘のように静まり返ったこの場所に、築50年は経っている様な5階建てビルがある。
このビルの前でメイクの濃い女の子2人が私の存在に気付かないまま、「あの子」の噂をしていた。
「どこがいいのか教えてほしいわ~」
「それっ!絶対、アタシ達の方がー、ってレイちゃん!!めっちゃ久しぶりじゃん!」
どうやら、私の存在にやっと気づいた様だ。
「久しぶり!2人とも元気だった?」
「元気、元気~!」
上辺だけの挨拶をして、拠点であるビルの中へと入る。
3階へ上がる途中ですれ違った数人と短く挨拶を交わし、あの人の部屋へと向かう。


