私の名前は白石彩。定期テストでは毎回学年一位。教師にも友達にも頼られる存在。
「白石さんって、家でもめっちゃ勉強してるんだろうな。俺たちとは次元が違うよな」
「恋愛とかにうつつを抜かさないで勉強してるんだよ。すごいよね」
　そんなふうに言われるたび、胸の奥がちくりと痛む。

　私だって恋をしている。ただ、口に出していないだけだ。しかも、ずっと前から。
　好きになった相手は、結城晴くん。

　私は「かわいいイケメン」に惹かれる傾向がある。結城くんは、まさに私の理想そのものだった。
　控えめに笑う顔が好き。そんな可愛い顔には似つかわしくない、175cmを超える長身とすらりとした体格も好き。
　野球部に所属し、女子とは全く話さない。でも男友達といるときはふざけて笑い声を上げる。そのギャップが、どうしようもなく愛おしかった。

　4年連続で同じクラスになった。偶然か、それとも運命か。
　私はいつも彼を遠くから見つめていた。彼に会うために、彼の一挙手一投足を目に焼きつけるために、私は学校へ通い続けたのかもしれない。