冬夜の服の裾を小さく握る。
「ねぇ……なんで、キスするんですか…?前の撮影のアドリブの時も、今も」
自分で聞いておきながらも淡く期待を抱いていることに気づく。
「……わかんねぇ」
胸が強く痛む。
「でも……したいって思ったのはお前が初めてだ」
その言葉にはじかれたように冬夜を見つめる。
え……それって、?
ふっ、と微笑んだ冬夜。
その表情は戸惑いと愛おしさが入り混じった複雑な笑みだった。
私の頭を優しく撫でる。
「いい子はもう寝ろ。おやすみ」
そう言い残して家を出て行ってしまった――。
翌日、目が覚めた私は酷い頭痛に顔を歪める。
だけど昨日の夢(だと思う)の内容ははっきりと覚えていた。
思い出して顔に熱がいく。
全身のだるさと頭痛を訴える体に鞭を打って今日のスケジュールを確認する。
今日はバラエティ番組の撮影一本だけ。
そのことに安堵する。
