三年後、あれほどあったはずの私の持参金は見事に使い切ってしまっていたし。

 いくらドレスや宝石が高いからって、三年で全額は使い切れないと思うのよね。

 屋敷の修繕(しゅうぜん)もほぼしなかったし。
 本邸は使用人の経費もかかっていない。

 ご飯だって、マトモなものが出てくることはなかったし。
 まぁ、別邸(べってい)はいいものを食べていたんでしょうけど。

 だけど愛人さんは、貴族令嬢なわけでしょう?

 お金持っていないってワケでもないから、つぎ込むって言ってもねぇ。
 んー。ホント、何に使っていたのかしら。

「そこらへんも考えて、もう少しお金の流れを調べないといけないわね」

 全部を綺麗に一掃するには、細部(さいぶ)まで知っていないとね。
 あとから変な邪魔が入っても困るし。

「ああ、こんなとこにいらっしたのですか!」

 ブツブツと考えながら歩く私を、ミーアが声をかけてきた。
 どうやら私を探しながら走ってきたようで、息が切れてしまっている。
 
「どうしたの、ミーア。何かあったの?」
「そうなんです! 他の者が掃除の最中(さいちゅう)にちょうど見つけて! まだ間に合うはずです。とにかく来てください」
「え、ええ」

 私はミーアに促されるままに、私たちは本邸へと早歩きで歩き出した。