翌々日には、ミーアが手配した三名の侍女が早々に屋敷へとやってきた。

 そして私を含め、全員が同じ侍女のお仕着せで揃える。

 髪を後ろで一つにしばり、ホワイトブリムまでお揃いにしてしまえば、ぱっと見誰が誰だか区別はつかない。

 ましてや前から分かってはいたが、あの人たちは基本、私になど興味がない。

 これでこの屋敷を自由に動き回っても、私が勝手に自分のお金で増やした使用人が動き回っているとしか思わないだろう。

 お金の面でいえば結構なダメージだけど、今は仕方ないわね。

 そのうちでも他に稼げるあてを探してお金を集めないとダメね。

 バラ病の特効薬を仕入れるにしても、隣国からの取り寄せだからなぁ。
 あれも結構かかるのよね。

 考えると頭が痛くなるようなことばかりだけど、一つ一つ片づけていくしかないわ。
 
 まずは一番攻略が簡単な夫からよね。

「みんな来てくれてありがとう。本当に助かるわ」

 私が集められた侍女たちに挨拶すると、みんなも嬉しそうに微笑む。
 元々彼女たちは父の元で一緒に働いてきた者たち。
 
 しかもミーアがわざわざ自分で選んだ子たちだけあって、結束は固い。

「お嬢様、今日はどうされますか?」
「一応ね、これでも今は奥様なのよ、ミーア」
「ああ、すみません。(くせ)でつい」

「まぁ、奥様らしいことを一つもしていないから仕方ないんだけどね」
「ですが……」
「そうね。今まで通り、アンリエッタって呼んでもらってもいいかしら」

 なんだか奥様って感じでもないのよね、自分でも。