初めからミーアをここへ呼ぶ計画ではあったものの、さすがにいきなり来てこれは可哀そうだと思い、数日は一人でこの屋敷の掃除に私は奮闘した。
 
 隅に溜まったホコリから、汚れで外がマトモに見えない窓の掃除。
 玄関先には雑草が生え放題だったし、エントランスは砂まみれだった。

 しかし一人でそれをやるのは、それも数日が限度。
 終わりの見えない汚さに、私の心はあっという間に折れてしまった。

 修繕をするにしても掃除をするにしても、無駄に広く荒れ果てたこの男爵家は一人ではどうにもならない。

 って、前回はあんなに頑張ったのに。
 それが全部元どおり汚くなってるって、どんな罰ゲームなのよ。

 さすがにこれはあんまりでしょう。
 それに前回、三年かかったって修繕はほとんど終わらなかったのよね。
 
 無駄に広いから掃除だけでも、一日で屋敷全部は回れない。
 その上、日々また汚れて行く。

 それでも手伝ってくれる人もいなかったし、助けを求めるっていう考えもなかったから、あの時は寝る間も惜しんでやっていたのよね。

 でもそれがまた一からって。嫌すぎる。でも、汚いのも嫌だ。

 もーーーー。本当になんなのよ。
 なんでここまで汚さを放置出来るかな。
 
 商会の作業場だって、ここより何十倍も綺麗よ。

 とにかくまずはダメ元で夫に掛け合うしかないわね。
 元々その予定だったし。計画より少し早くなっちゃったけど、仕方ないわ。

 早朝から始めた掃除を切り上げ着替えると、食堂へ向かった。