結婚式は、前回の時とまったく同じように行われた。
 二度目ともなれば、あれほど惨めだった思いも薄れ、客観的に見ることが出来る。

 父が商会を通して特急(とっきゅう)で仕立てさせた白のウエディングドレスには、金で縁取った青いリボンが所々に施されていた。
 清楚かつ豪華なドレスではあるものの、薄紫の瞳と銀色の髪の私にはまったく似合ってはいない。

 まぁ、肌触りは良いから生地は一番上等なものを使っているんでしょうね。
 この先、貴族相手にでもドレスを売りつける算段でもしていたのでしょう。

 あの時は不釣り合いなドレスとしか思わなかったけど、色さえどうにかなればもう少し似合っていたかもね。
 だけど似合っていてもいなくても、どうでもいいわ。

「おお、ぴったりのドレスだな~。ああ、華やかでいい感じだ。さすがに新しいデザインで作らせただけのことはある」
「……ありがとうございます、お父様」

 そう、このドレスは私のために作られたわけではない。
 むしろその逆。ドレスのために私がいる。
 いわば今の私は、生きたマネキン人形というわけ。

 一人娘の晴れ舞台ですら、父にとっては商売の道具でしかなかった。