薄紫の瞳に銀色の髪の毛。
 私と父はよく似ていた。もっとも、この性格以外はだけど。

「お前ももう二十歳だ。普通の娘ならばとっくに結婚している年頃だろう。このまま行き遅れてはまずいと思ってな。ずっと探していたんだ」
「それで、こんなにも急にということなのですね」

 確かに結婚適齢期(けっこんてきれいき)であるのは知っている。
 でも、私は全て父の指示に従ってきただけのこと。
 父の仕事を手伝い、恋愛などする時間もなく、ただ生きてきただけ。

 二度目でも、本当に勝手な人。
 何を言い返しても、きっと自分の主張を曲げはしないわね。

 父は確かに商人としては優れているかもしれないけど、娘の私から見ても人としては最低だ。
 自分以外の人間は全て、コマとしか見てはいないのだから。

 仕事仲間であっても、家族であってもそう。
 自分以外の人間は、みんな父にとったら使えるコマでしかないというグズさ加減。

 それでも父だから……家族だから……。
 私は、その機嫌を損ねないように……少しでも愛して欲しくて今まで頑張ってきたというのに。