これは⋯⋯とても給料3ヶ月分どころではないほど高価そうで、もはや少し気後れしてしまう。

そもそも、清海さんはサラリーマンではないのだが。

「これ、かなり高かったんじゃない⋯⋯?」

そう言うと、清海さんは吹き出して、

「だから、海香子ちゃんと一緒には選びに行けないなと思ったんだよ。海香子ちゃんの好きなデザインにしようにも、絶対に遠慮されるか、下手したら、要らないって言われそうだから」

確かに、婚約指輪は別に必要ないとも思っていた。

元々、さほど物欲がないので尚更だ。

とはいえ、清海さんが私のために選んでくれたと思うと、やはり嬉しい。

「清海さん、ありがとう!」

何しろ、今は家の中だ。

誰も見ていないので、私のほうから思い切り抱きついた。

「サイズは合ってる?」

「うーん⋯⋯少しだけ大きいかも?自分の指のサイズ知らないし」

「じゃあ明日、一緒にサイズ直しに行こう」