釣り人のお兄さんが来た日は、珍しく快晴だったが、何しろ日本海側の気候なので、その後丸2日、雨が続いた。

今日は、ハローワークに行ったものの、特に収穫はないし⋯⋯。

それ以前に、私は地元で再就職したい訳では無いのだ。

少しエリアを変えるだけでもいいから、地元ではない何処か⋯⋯かといって、大都会はもう懲りた。

ぼんやりとそんなことを思いつつ、またしても磯遊びセットを持って海に向かうと、停まった車から、軽くクラクションの音が響く。

振り向きざま、私は驚いてしまった。

「あ⋯⋯!」

「やあ。また来たよ!」

釣り人のお兄さんが言っていた、また来る、なんて、どうせ社交辞令だと思っていたが⋯⋯。

「本当にまた来てくれたんですね!」

「嘘だと思ってた?」

冗談めかしてそう言うけれど、私は、一度社会に出て、思い切りしくじった人間なので、もう、人の本音と建前がよくわからない。