「来週、海香子ちゃんのご両親に、挨拶に行くつもりだったのに、こんなことになってしまって⋯⋯。僕にとって、何よりも守るべき人のことを、こんな風に巻き込んでしまうなんて、あまりに最低だ⋯⋯」

「えっ?うちの親に挨拶!?」

むしろ、そちらのほうに驚く。

「電話した時、お母様は、もう僕が何の話をしたいか察しておられて『遅かれ早かれ、いつかはこんな日が来るとは思っていましたよ』って。折角、歓迎してくれそうだったのに、こんなことが起こってしまったら、もう信用を失くすだろう⋯⋯?」

酷く落ち込む清海さんに対して、私は意外と冷静だった。

「ねぇ、清海さん。少し頭の中を整理しましょう?」

頭を抱えていた清海さんは、そっと顔をあげる。

なんて虚ろな瞳だろう⋯⋯見ていて気の毒になるほどだ。

「まず⋯⋯この記事は、完全に出鱈目な話じゃない?」

不思議そうに私を見つめる清海さん。