私のほうからキスを返し、それが答えだと気付いてもらおうとした。

「私、車で空港まで送るよ」

「いいの?ありがとう。それなら、ギリギリまで一緒に居られるね」

本当に、清海さんは恋人になった途端、急に甘えん坊になったから、可笑しい。

車で空港まで送り届けると、清海さんはまだ名残惜しい様子でひっついてくるので、笑ってしまう。

「最終が着く頃、また迎えに来るから」

「ありがとう。知らない人が来ても、ドアを開けたらダメだよ」

今度は、私のことを過保護なまでに子供扱いする。

「誰も来ないと思うけど、そうします。今日は、仕事のことだけ考えてて。ホラ、いってらっしゃい!」

清海さんは、最後までグズグズしていたが、彼を乗せた飛行機は勢いよく羽田へと飛んでゆく。

高所恐怖症の私は、飛行機なんて絶対に乗りたくないけれど、1時間程度で羽田に着いてしまうなんて、便利なことは便利だ。